薬と食品の飲み合わせ

今回は、薬と身の回りにある食品との
飲み合わせについてお伝えします。

 

 

 

1. グレープフルーツジュースと薬

よく患者さんから「グレープフルーツジュースと一緒に飲んではいけない薬があるの?」と疑問に思っている声を聞きます。

これは事実で、有名なものに高血圧治療薬があります。

ただし、全ての高血圧治療薬がいけないのではなく、一部のものに限られます。それは、「カルシウム拮抗薬」と呼ばれる薬です。

「カルシウム拮抗薬」という分類の薬の中でも、その種類によって影響を受ける大きさが違います。「ニソルジピン」「フェロジピン」「アゼルニジピン」という成分は影響を大きく受けるので、これらの薬を服用している方はグレープフルーツの摂取を避けた方が良いです。逆に、「アムロジピン」「ジルチアゼム」という成分は大量にグレープフルーツを摂取しなければ影響をほとんど受けないことが証明されています。GFJの影響を受ける薬

では、なぜ一緒に飲むと良くないのでしょう?

それは、薬の作用を増強してしまう可能性があるためです。

グレープフルーツの果肉に多く含まれている天然フラボノイド成分が、消化管粘膜に存在する‘薬を代謝する酵素’の力を抑えるためと考えられています。

この影響を与える成分はグレープフルーツ以外にも、ブンタン、スウィーティー、ダイダイ、夏みかん、ポンカン、いよかんなどの柑橘系フルーツにも含まれています。

温州みかんやバレンシアオレンジは摂取しても問題ありません。

グレープフルーツの影響は、一般的に摂取後24時間程度に及ぶといわれていますが、服用する薬によって異なります。長いものでは2~4日程度持続するものもあるので注意が必要です。ただ、この影響を受ける時間の長さには個人差があります。

このように服用している薬の種類、フルーツの種類によって影響を受ける大きさが変わってきます。ですので、まさに今、血圧の薬も飲んでいてグレープフルーツや上記に挙げたフルーツを食べているとうい方でも焦る必要はありません。

まずは、私たち薬剤師にご相談下さい。不安、疑問を解決いたします!

 

 

2. ワーファリンとビタミンK

ワーファリン(血液をサラサラにする薬)を服用している方はビタミンKが多く含まれている食べ物を控えなければなりません。

では、なぜビタミンKを摂取することが良くないのでしょう?

ビタミンKには出血をした時に血液を固める働きがあります。

ワーファリンはそのビタミンKに対抗することで血液が固まらないようにしています。

そこにビタミンKがさらに加わるとどうなるでしょう?

ワーファリンのビタミンKに対抗するチカラが相対的に弱まり、血液サラサラ効果が弱まってしまいます。ワーファリンvsビタミンK

ここでビタミンKを多く含んでいる食品を紹介します。

納豆、クロレラ、モロヘイヤ、青汁には多くのビタミンKが含まれています。

その中でも納豆はよく耳にする食品です。

ビタミンKは腸内細菌により生成されるビタミンでもあり、納豆に含まれている納豆菌が腸内でビタミンKの生成を促進してしまうのです。

緑黄色野菜にも比較的多く含まれていますが、全く食べないとなると栄養バランスが崩れてしまい逆に健康に良くありません。緑黄色野菜など、その他の食品については一時的に大量に摂取しない限りは問題ありません。

ですので、ワーファリンを服用中の方はビタミンKを多く含む食品を知っておくようにしましょう!

 

 

3. お酒と薬

薬を服用している時にお酒を飲むことで及ぼす影響は大きく3つあります。

①アルコールと薬の相加的影響

アルコールの作用と薬の作用が合わさること(相加作用)で胃障害、精神運動障害などの症状が現れることがあります。

例えば、アルコールは胃を荒らしやすいので、胃を荒らすことのある鎮痛薬と一緒に服用すると胃障害の危険が高まってしまいます。またアルコールは脳の活動を抑える作用もあるので精神安定剤、睡眠薬と一緒に服用すると鎮静、催眠作用が強くなります。

②薬がアルコールの代謝に及ぼす影響

アルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)という酵素により代謝されます。アルコールの代謝

二日酔い、悪酔いの原因物質はアセトアルデヒドです。

一部の抗生剤や糖尿病薬など、薬によってはALDHの働きが抑えられることがあります。するとアセトアルデヒドの分解が妨げられ、その結果、アセトアルデヒドの濃度が高くなり頭痛、顔面紅潮、発汗、頻脈、動機、血圧低下、悪心、嘔吐などの症状が引き起こされます。

アルコール 飲み合わせが悪いと・・・

③アルコールが薬の代謝に及ぼす影響

長期的に飲酒をしている人はアルコールを代謝するためのCYPという代謝酵素の働きが強くなっています。そのCYPは薬の代謝にも使われます。

なので、飲酒によりCYPの働きが強くなっている人の場合、薬を飲んでもすぐに代謝されてしまい薬の効果が弱まってしまうことがあります。

 

つまり、薬を服用している人はアルコールの摂取を控えることが一番です!

 

 

 

4. カフェインと薬

コーヒーや紅茶にはカフェインという成分が多く含まれています。

カフェインには覚醒作用、強心作用などがあります。

H₂ブロッカーといわれる胃酸抑制薬とカフェイン含有飲料を一緒に飲むと、カフェインの排泄が遅れ、動悸、頭痛、気分のイライラが現れることがあります。

また、一部の痛風治療薬を服用している場合もカフェインの代謝が抑制されて同様の症状が現れることがあります。

これらのお薬を飲んでいる人は私たち薬剤師にご相談ください!